このコーナーでは以前にメールやHPのBBSに皆さんから頂いた、ご質問やご相談を
ご本人の了解を頂き掲載しています。
なるべく原文のまま掲載しておりますので、多少コメントの仕方が異なっていたり、
支離滅裂な部分もあるかと思います。ご了承下さい・・
FAQ:卒業までにデビュー・・しかし
Q:Hさん 
私は現在 某大学の経済学部 1年生だというのに、ずっと挑戦してみたかった
“漫画家”を目指して、つい最近から絵の勉強を独学しています。
しかし、学校にバイトにと色々時間がとられ、なかなかペンを握ることも出来ません。
その上、もともとデッサンやら構図やら・・・デザイン的なものを学んだことがないので
何から始めればよいかも分からない状態で、困っています。
ただ、子供のころから好きだった漫画の世界に自らを投じたいという強い気持ちから現在に至っています。
本当は、大学も美術大学や専門学校に行きたかったのですが、
親が五月蝿く(普通に大学卒業して就職してほしいみたいで)その進路も叶いませんでした。
 
しかし、現在 親友と一緒に「大学卒業するまでにデビューしよう」という小さな希望を抱きながら、
一先ず”同人誌”の発行から始めてみようということになったのです。
そこで、早速ネームを考え下書きに着手している所なのですが・・・
ほとほと自分の画力の無さに嫌気が差します。
キャラをまともにかけない上に、1つのコマに複数のキャラを描くとバランスがおかしい。
背景は全く描けないし、パースとかページ全体の構図とか・・・もうさっぱり。
こんなんで、よく「漫画を描こう」と言い出したなというダメダメぶりです。
 
本来なら、1から勉強して少しずつ技術や知識を習得していきたい所なのですが
生憎、私にはその時間はあまり残されてはいません。
大学在学中に!というタイムリミットがあるのです。
そこで、途方に暮れながらネットを検索(知識向上の為)していると管さんのサイトを発見!
とても、分かりやすい解説と先生の熱意に胸打たれ、こうしてメールまでさせて頂きました次第です。
 
さて、長い前置きは置いておいて、本題に入りますが
一番早く、なおかつ確実に技術をUPできる方法として「模写」や「トレース」が挙げられていましたが、
これらは実際どのようにしてやるのが最も効果的なのでしょうか?
例えば、模写する『用紙』
・模写とはいえ、ちゃんとした原稿用紙に描いたほうがよいのでしょうか?
・どこまで細かく写せば(真似すれば)?
・そして、ペン入れやトーン処理までもやってみるべきでしょうか?
 
また、模写する作品・作家さんなどを選ぶポイントとかはありますか?
私は少年ジャンプを購読しているのですが、自分の好きな作品の好きな1話を模写・・・という形でもいいのでしょうか?
やはり、構図がしっかりしていて「この人を真似すればいい!」というような方がいらっしゃるのでしょうか?
 
最後に余談になりますが、
私はまだ、自分の画風がよく分かっていないので少年漫画を描くのか少女漫画を描くのか分かりません。
ただ、ファンタジーが好きで 恋愛要素だけで話がだらだら続いていくよりは
アクションシーンがあったり、という方が好きなので。少年誌向きかな?と思ったりしています

A:
=============================

@模写をする『用紙』

模写する『用紙』は鉛筆で練習するのであれば、スケッチブックや落書き帳のようなもので問題ありません。
ペン入れの練習でしたら個人的にはコピー用紙がお薦めですね。
コピー用紙は原稿用紙と同じ上質紙のものが販売されてますので、それで充分です。
トーンを貼ったり、削ったりまでの練習をされるのであれば原稿用紙の方が良いでしょう!!
模写のクオリティーに関してはまだ、自分の絵柄が出来ていないと想像されますので、
出来るだけ忠実に、丁寧に模写する事をお薦めします。


A模写する作品・作家を選ぶポイント

まずは自分が真似して描いてみたい・・という絵柄の作品がある事が前提になります。
【自分の好きな作品=自分が真似して描いて影響を受けたい絵柄】
とは違う場合があるので、もし、Hさんが好きな作品がそうであれば、本屋さんなどに出向いて
「この作家さんの絵・・私好み!」「このキャラを模写してみたい!」というコミックスを見つけて下さい。

キャラクターの絵柄のみであれば、マンガ作品にこだわる必要は全くありません。
アニメやゲームで真似したいキャラクターがあれば、その解説本や攻略本、
アニメ・ゲーム雑誌から引っ張ってきて、模写してみましょう!!
背景の処理やペンタッチは、やはりマンガ独特なものですので、
参考になるマンガ作品を模写するのがベストでしょうね・・

カメラワーク(構図)に関しては時間がない・・あるいは最短で・・というのであればやはりマンガの模写ですかね。
ハイネさんの好きな作品やコマ割りやカメラワークが上手い・・と感じる作品を
ネーム状態までで構わないので、一話分模写を幾人かの作家さんでしてみましょう!!


B映画から映像的センスとストーリーを盗む!!

余裕があるよう出したら、やはり映画ですね。
私は学生に自分が気に入った映画は3回は見るように薦めています。3回の内訳は・・

1回目・・一観客として楽しむ。
2回目・・シナリオ的観点からキャラクターの配置やストーリー構成・演出を研究する。
3回目・・カメラワークあるいは色彩バランスを研究する。


です。
これ、実はマンガにも言えるのですよね。
自分が面白いと感じた作品(特に素人や新人の場合は読み切り作品)にあてはめて、3回読めば良い訳です。

また、これ慣れてくると・・あるいはプロになるとこういう見方も出来ます。
例えば、レンタルビデオ屋で借りたDVDがちょっといまいちなC級作品だった場合・・

1回目・・一観客として楽しもうと思ったが、いまいちだったなぁ。でも、ちょっといじったら面白くなりそう!!
2回目・・シナリオ的観点から、キャラクターの配置・設定の再考、ストーリー構成・演出を直してみる。
     オリジナルなものとする為に世界観を変えてみる。
3回目・・カメラワークあるいは色彩バランスを再考してみる。


3回目はプロだと必要ないですかね・・C級作品をベースにオリジナルのものを作ってしまう訳です。
ズルイでしょ??? でも、これも立派なストーリーの作成法なのです。


C絵が先か?ジャンルが先か?

【描きたいものが決まっていて、そのジャンルに合わせた絵柄を作ってゆくという方法】と、
【まずは自分の絵柄を作り、その絵柄に合わせジャンルを決めてゆくという方法】 があります。

大抵、前者のパターンの方が多いかと思われますが、
たまに自分の絵柄と目指し始めたジャンルが違っていて、慌てる方がいます。
合っているにこした事はないですが、必ずしもひと昔前のように、
この少年誌だったらこの絵柄・・この青年誌だったらこの絵柄・・という感じではなくなっているので、
まずは描きたいものを自分の絵柄で描いてみれば良いのではないでしょうか。
ストーリーや作風が個性的であれば、編集の方は絵柄がそのジャンルに合ったものでなくても、
斬新だ・・と感じるかもしれません。
<KANちゃんゆく>のコーナーで紹介している「おおきく振りかぶって」などは、
まさにその良い例だと思いますよ。

Hさんの場合、ファンタジー・アクションとほぼ明確に決まっているようですから、
ジャンプやエニックス系の少年誌の絵柄、あるいはファンタジーのゲーム系の絵柄を意識して
練習されれば効率的でしょう。

=============================


ご質問に関しては以上のようなところでしょうか・・あと、
マンガ家を目指し始めたという事ですが、あえて少し苦言を言わせて頂きますね。

バイトや学校で忙しい中で
「大学卒業するまでにデビューしよう」
は正直申しまして、現実的ではありません。
Hさんの絵柄がある程度完成していて、同人誌のキャリアがそれなりにあり、
なおかつ、投稿歴がある・・というのであれば別ですが、それほど甘いものではありません。

これは私の持論ですが、プロになる為には全くの素人から始めた場合・・

「本気でマンガのみに取り組んで、3〜5年かかる!!」

と考えています。

私が教えてきた学生達は全くの素人から、1〜2年間で担当付きや賞に入る・・
あるいはアシスタントとして現場に出る事が出来る・・ほどの実力が付きます。
が・・彼らは1〜2年間、みっちりマンガだけに集中し、がんばって来た末に結果を出しているのです!!

もちろん1年以内でデビューする学生もいますが、やはり投稿の実績が何本もあるとか、
ペンを持った事はないけれど、同人誌でかなりキャリアを積んでいるとか、
ペンもコマも割った事はないけど、父親が画家で、デッサンがかなりしっかりしていた学生でした。
当然、彼らもデビューするまで集中してがんばり、プロになった訳です!!

もし、本気で3年でデビューしたい・・というのであれば、
マンガにだけに集中出来る環境が、3年間必要です!!


正直言って、バイトや学業はいい訳です。
私の知人にも大学在学中にデビューした方がいますが、やはり、
マンガばかり描いてましたし、美術系の大学出身の方です。

ただし、学校も大事、バイトもしなくちゃ・・親の体面、大学は卒業しなけば・・という環境であるなら、
Hさんが今やろうとしている、同人誌を徹底的に描いて欲しいものです!!
イベントに合わせて、間に合わせで描くのではなく、
常に研究しながらこだわって描く事でかなり上手くなると思います。


また、学生である経験やバイトの経験、恋の失敗談などは後々マンガの中で生きてくるはずです。
せっかく学生である現状や同人誌をやれる環境にあるのですから、思いっきり楽しんで欲しいですね。

プロやデビューは・・思っているだけであったり、たまに絵を描く程度ではどうにもなりません。
『集中した継続』がなければならないのです!!

まずは楽しみながら数をこなして、レベルアップして下さい。
同人誌だって、描くのも、本を作るのも、売るのも大変です。
たくさん新作を創り、イベントに参加する中でやはりどうしてもプロになりたい・・
という意識が変わらない、あるいはさらに強くなった・・というのであれば
ぜひ、卒業後にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
Copyright(C) MANGAKAKOUZE.TAKARA-BUNE.NET All Rights Reserved.